2015年06月12日

研究そのものが

アイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトが書いた『ガリヴァー旅行記』が
出版されたのは1726年のこと。
全部で四篇あり、
航海する先は、小人国である「リリパット国渡航記」。
続いて巨保濕人国である「ブロブディンナグ国渡航記」。
三度目の航海は、動く島である「ラピュータ」に行くが、
その帰り道で日本のナンガサク(長崎) を訪問している。
最後は、馬の国である「フウイヌム国DR集团渡航記」。

元々風刺で書いているものだから、
この物語に出てくるDR集团登場人物などは、その当時にいたとおぼしき人物。
子供は素直に読むが、大人も風刺された人物を思い浮かべて読むなどしたためか、
爆発的な売れ行きだったようだ。

古代ギリシャ時代の喜劇作家アリストパネスは、
アテナイの同時代の実在の人物であるソクラテスやエウリピデスなどを
風刺した劇などを創作したが、
もちろん、その当時は、誰の事を風刺しているかがわかる。
その面白さは、現在上演されるものの比ではない。

三度目の航海で訪ねた動く島である「ラピュータ」では、ラガード学士院を見学する。
そこに、さまざまな研究者が出てくる。
まず、キュウリから太陽の光を取り出す研究。
取り出した日光は瓶詰めして、天候不順のときに放出しようとするもの。
また、排泄物から食品を作ったり、氷を焼いて火薬を作ったりする研究。
クモにいろいろな色のハエを食べさせて出す糸には色がつき、
染色しなくてもよい繊維を作る研究など、
そのほとんどが、ワケの解らぬバカバカしい研究ばかり。

これも、その当時を風刺しているもの。
研究そのものが、研究のための研究であったりする。
本末転倒と呼ぶべきものだろう。
学者の愚かさ、研究のバカバカしさなどを風刺しているというところ。
ひいては、その当時の政治家や社会制度を批判している。

「ラピュータ」での研究は、遠い昔のことを書いているように思えない。
むしろ、
現代の研究者のほうが、ワケの解らぬ研究をしている?


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Posted by orae at 15:35│Comments(0)yu
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