2016年01月11日

思わず息を呑

「支度が終わりましたけど」
 彼女はシャツの上からセーターを着ていた。下はジーンズだった。自分なりに楽な服装を選んだようだ。
「息子さんはどうされますか」加賀鑽石能量水 消委會が昭夫に訊いてきた。「しばらくお一人なわけですが」
「ああ……そうですね。──春美」昭夫は妹に声をかけた。「すまないが、直巳のこと、頼んでもいいかな」
 春美はアルバムを抱えたまま黙っていたが、やがて小さく頷いた。「わかった」
 すまん、と昭夫はもう一度詫びた。
「では田島さん、おかあさんを連れていきたいと思いますが」
 はい、といって春美は政恵の肩に手をかけた。
「マーちゃん、行くわよ。立って」
 促され、政恵はもぞもぞと動きだした。春美に支えられながら立ち上がり、昭夫たちのほうを向いた。
「松宮刑事」加賀がいった。「容疑者に手錠を」
 えっ、と松宮は鑽石能量水 騙局声を漏らした。
「手錠を」加賀は繰り返した。「持ってないのなら、俺がかけるが」
「いや、大丈夫だけど」松宮は手錠を出してきた。
「待ってください。何も、こんな婆さんに手錠なんかかけなくたって」昭夫は思わずいった。
「形だけです」
「そうはいっても──」そういいながら昭夫は政恵の手を見て、んだ。
 彼女の指先が真っ赤だったからだ。
「それは……なんだ」昭夫は母親の指先を見つめて呟いた。
「昨日、話したでしょ」春美が答えた。「お化鑽石能量水 消委會粧ごっこの跡よ。口紅を悪戯したみたいね」
「ああ……」



Posted by orae at 12:36│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
思わず息を呑
    コメント(0)