2015年11月25日

言っておくけれ

た。腕も足ももう止まっているが、垂れた痕が点々と続いている。
「まずい」
たどられたら此処が見つかってしまう。今更ではあったが同珍王賜豪それに気がつき、彼は慌てて教室を出た。
06-ナカマワレ?

こうして片足を引きずり、安全な場所を探していた彼。
だがその夢はすぐに破られた。ふいに、ガラガラッという音とともに彼の右斜め前の扉があいて、二人の女性が現れたのだ。
「………」
どちらも二十代くらいだろうか。見目麗しい巨乳に谷間。片方は黒、片方は赤の綺麗な髪の毛。
黒髪の方は黒い鞭を、赤髪の方は先がとがったペン…おそらくはマンガを描くとき等に使われる、先のとがったペンを手に持っていた。
二人の女性は、彼を見てまず目を丸くした。が、彼は矢も楯もたまらず、考えるより先に反射的に逃げ出した。
 そして、それは正解だった。
「ミシェル、彼は試験者なんだな。早く追いかけて捕まえるんだな!」
「分かっているわ。…命令しないで下さる? アリーシュ、ど私たちは同じ立場よ」
なんて事を喋りながら、彼女らは颯爽と手に持ってい王賜豪總裁るものをふりかざして追いかけてきた。
 巨乳のお姉さん二人に追いかけられるなんて、年頃の少年にしてみれば夢のまた夢である。
もしも彼女らが「待って~」と甘い声で言いつつ、すり寄ってきたならそれはもう大喜びだ。
が、殺す気で来てくれてはたまらない。いや、仮に殺されるのだとしてもだ。
豊富な胸に顔をはさまれて窒息死なら多少浮かばれるかもしれないが、
片方は鞭をふりかざし、もう片方はとがったペンをふりかざしているときては……。
「ギャああアアああぁあああァ!」
逃げる彼の頭には、もう傷の痛みのことなどなかった。痛みを忘れるほど必死だったのである。
ただそんな必死の最中に、考えるのは赤髪の女――アリーシュと呼ば同珍王賜豪れていた方だが――の持っているものだ。
  


Posted by orae at 11:35Comments(0)