2015年05月19日

息を吹きかけると


昔の電化製品は、ヤワだったのか様々な故障をしたものだった。
今のような保証制度がなく、故障すると自分で修理ということになる。
テレビなどは、修理が難しく、厄介なものだった。
画面に、上下や斜めの線などが出るなどの不具合が起こり、
見えにくい状態になることが、よくあった。
そんな時、テレビの横の部分を軽く叩いたりすると、
正常に動き始めたりする。
どこの家庭でも、
家族の中に、叩き具合が微妙にすぐれている第一人者がいて、
不具合が生じると、叩き名人として呼ばれて、軽くタッピングをして、
みごとに立ち直らせたりしたものだった。

ちょっと特殊な言葉に、
『オーガニック・ブリッジ』なる言葉がある。
本来、無機物である機械などが、
まるで、心でもあるような反応をする場合がある、
それを意味する言葉。
たとえば、
ポンコツで動かなくなった車のエンジン部分に、
息を吹きかけると、動くようになったり、
軽く指を触れるだけで、スムーズに動くようになったりすることがある。
また、生物学者のL・ワトキンス氏の著書によると、
ドイツのヴァイオリン奏者アンネ・ゾフィー・ムター女史は、
演奏の時は決まって肩が出るイブニングドレスを着用して、
ご自慢のストラディヴァリウスを演奏したという。
楽器と直接肌で触れる方が、
いい音が出るとしているためだという。
そんな風に、本来無機質で、精神性など持たないようなものが、
有機体である人間と触れ合うことによって、
尋常でない力を発揮することを
『オーガニック・ブリッジ(有機的なつながり)』と呼ぶそうだ。
家族の中の叩き名人によって、テレビが正常の動きをしたのも、
このオーガニック・ブリッジ賜物か?
  


Posted by orae at 13:01Comments(0)yu